北海道 長沼町街中の住宅。前面道路は国道のため交通量が多く、建物は道路より8メートルほど敷地奥へ配置しました。前面余白スペースは駐車場となります。間口12m奥行き27mの細長い敷地。この敷地に沿って、建物も細長く計画しました。建物と隣地境界線までは、全ての面で3m以上を確保しました。隣屋との物理的距離は4m以上確保することができ、プライバシーを守ります。敷地の余白スペースには、将来的に木を植えて敷地内に小さな森をつくる事がクライアント様の夢です。最初に決めた部屋のポジションは、ご家族全員が多くの時間を過ごすリビングです。土間テラスとつながる開放的なリビングは、静かで安全な環境に配置しました。静かで安全とは?交通量が多い前面道路からリビングを離す事で、車両の音を軽減。そこで遊ぶお子様の安全を確保し、見守るご両親の安心も。また、玄関横に設けた「かべ」はプライバシーとお子様の安全に配慮した設計です。リビング〜屋根付き土間〜庭スペースを「かべ」でゾーン分けしつつ安全を確保します。

敷地の特等席に配置したリビング以外の、キッチン・洗面・洗濯室・脱衣室・寝室・トイレ・玄関・シューズクロークの要素は1階に配置し、トイレ以外は回遊できる動線計画としました。回遊する事により、限られた空間がとても豊かな広がりを出す事になります。回遊動線は5人家族が動きやすく、お互いの動線接触を避ける事ができます。内装仕上げは、コスト・DIYがキーワードの住宅。クライアント様はDIYが趣味で、色々なものを自分達で作ります。最もDIYのしやすい壁仕上は・・・合板です。内装は素材が仕上げとなるものを選定しました。素材の「素」が住宅のキーワードとなり、作品名になっています。唐松材の外壁・唐松合板・木毛セメント板・コンクリート・構造木材が内装材となります、一般的な住宅では隠れるものがこの住宅の表現となっています。素材がもつ力を建築デザインの中心としています。

N1
唐松下見板張りに 小さな窓を2つ リズムをつけて配置しました。
N2
片流れの屋根形状の軒下を 玄関へのアプローチとしました。
N3
アプローチの軒は構造体垂木を露出仕上げとし 木の柔らかさと香りを感じながら入口へむかいます。
N6
アプローチ突き当りの「かべ」は 内部への「いざない」 周辺環境から保護する「安心」 「安全」を意味する「かべ」。
N5
様々な可能性を秘めた 屋根付き土間テラス。
N7
雨天さえ 屋根から落ちる雨を見ながら楽しむ時間に。
N10
庭スペースとつながる土間では 子供達と楽しむミニプール・BBQ・花火など。
N12
唐松の板より凹ませた窓。雨仕舞い・陰影・断熱への配慮。
N13
唐松下見板貼りを下から見ると一枚一枚に重なりがあります。段差があるので1枚ごとに雨水が切れます。経年変化で陰影が生まれます。
N14
軒裏の構造骨組み表し。303間隔に38×235木材を配置。455間隔ではなく 303間隔にこだわっています。
N15
キッチン・ダイニングからリビングの眺め。段差を設け 物理的な場所と空間認識による気持ちを ほんのりと分ける。
N16
リビングから2階へ。スケルトン階段が空間と視線をつなぎます。
N18
リビングから薪ストーブ土間と屋外土間テラスの眺め。段差がある事で生まれる生活スタイル。

リビングと土間テラスの段差40センチ。
リビングの窓をあけリビング床に腰掛けて庭を眺める。

リビング床と薪ストーブ土間の段差30センチ。
リビング床に腰掛けながら薪ストーブで暖をとる。

リビング床とダイニング床の段差17センチ。
リビング床に腰掛けながらダイニングやキッチンの家族と会話を楽しむ。

N19
薪ストーブは玄関土間へ。薪ストーブは汚れとの戦い。灰で床が汚れ。薪の搬入で床が汚れ。煙突掃除で床が汚れ。住宅で最も汚れに耐性がある場所・・玄関。そして、最も薪の搬入がしやすい場所も玄関。薪ストーブと玄関は相性が最良。
N20
階段とキッチン。
N21
薪ストーブと地窓。ロースタイルで過ごすと 窓から庭を感じることができます。引き違い窓は スムーズな薪の出し入れや着火時に空気を入れる役割があります。
N22
コンパクトで無骨な薪ストーブ。ジョイフルエーケーオリジナル。
N23
玄関横のシューズクロークからの眺め。
N24
廊下からリビング方向の眺め。廊下への光は 他所からの間接光を取り込み 室内に陰影を出します。
N25
洗面からキッチンそしてリビングの眺め。
N26
洗面は上部に設けた窓から 北側の穏やかな光が1日中入ります。陶器シンクは TOTO SK106。子育て世代のご家族には 大きなシンクが使い勝手よくとても便利。水栓は ツールボックスのホース水栓。鏡は ミラタップ製収納ボックス付き鏡。内部にはコンセントを施し 電動歯ブラシやひげ剃りの充電ができます。
N27
2階からリビングを眺める。突き当りの細長い窓からは南の光がたっぷりと入ります。大きな吹き抜けは 未来への可能性を秘めています。
N28
2階は小屋裏スペース。大空間の使い方に制限はありません。お子様3人が過ごす大広間。将来は3つに仕切る想定です。そのため 照明・コンセント・スイッチも将来を想定した配置に。突き当りにある白い扉は 共用トイレへの入口。
N29
2階階段からの眺め。異素材の境界が空間を引き締めます。薪ストーブの暖かさが2階にも届きます。

竣工:2025年5月
撮影:OKA PHOTO
用途:住宅
規模:木造2階建て 128.56㎡
設計:合同会社 永田大建築設計事務所
施工:合同会社 永田大建築設計事務所(設計事務所による工事請負方式)