はじめて敷地を訪れた時。印象的だったのは森に沿って続く道。この道に寄り添う様な建築をイメージしました。LDK・廊下・洋室全てが道と共に流れる様な空間構成。北側が森、南側がご両親の住宅。北側の森を常に感じれる様に、大開口を設け、東、南の光はハイサイドライトより取り込む計画としました。西日が入りにくい、1日中明るい彩光計画としました。直線的な空間構成とコンクリート、白木、白 内装のシンプル素材が空間に緊張感を与えアート空間の様な凜とした空間となりました。

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着手前の敷地。敷地奥まで続く道。とても美しい緑道。この美しい緑道が建築計画へ影響をあたえました。
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建築後の緑道の眺め。緑道の見通しは維持し、道に寄り添った平家建て細長い住宅を計画しました。
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緑道に寄り添い、森に吸い込まれる様な位置に配置した恵庭の家。たたずまいが小さく見える様に意識的に寸法調整をしています。このボリュームコントロールは、玄関ドアをあけるまで小さな家だと脳が認識し、玄関ドアを開け内部空間に入ると、奥に入るほどに広がる空間。“閉鎖と開放” 無意識のうちに脳内意識変化が繰り返される事により、毎日住んでもあきのこない建築となる事を期待しています。
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森側からの外観。森側にひらいた大開口。トリプルガラスを採用しています。
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玄関からリビングダイニングへの廊下。奥にみえる森の景色に高揚感があふれます。
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内部から、森側にひらいた大開口を眺めます。日常に最高の景色を取り込みます。
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緑道に平行に寄り添った細長い、リビングダイニング空間。天井高さを3.8mとしています。
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リビングダイニング空間。天井付近へ窓を設け、東と南の光をしっかりと室内に取り入れます。窓の高さを小さくする事で、太陽高度が高い夏の強い日差しを入りにくくする配慮をしています。
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コンクリート床のダイニングからパインフローリング床のリビングを眺めます。床素材の切返しで、空間をゾーン分けします。
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キッチンの細長い窓からは、森を眺める事ができます。キッチンからリビングダイニングを見通せ、家族の様子を常に感じれます。
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ダイニングリビングと個室の間に廊下を設け、廊下に床から天井まである壁面収納棚を設け、日常であふれる物の収納としバックヤードの役目を担っています。廊下の突き当たりは寝室となっています。寝室のドアをあけ、その奥には床から天井まである窓を設け、開放感と廊下への光を確保しています。また、廊下も緑道に平行に配置し緑道から続く室内道をイメージしています。
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リビングの板の間ソファに座りながら、敷地おくまで続く緑道を眺める事ができます。緑道添いには隣に住むご両親が手がける畑があり、ご両親の様子もうかがう事ができます。
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造作洗面。白木の品材建具で隠す収納と、浴室の脱衣室も兼用する部屋のため、タオルも常備しています。タオルはワイヤーバスケットへ収納します。
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竣工:2023年2月
掲載:Replan北海道 Vol.142
撮影:古瀬 桂

設計:合同会社 永田大建築設計事務所
施工:合同会社 永田大建築設計事務所(設計事務所による工事請負方式)

市街化調整区域の建築は、乗り越えなければならない壁が沢山ありました。恵庭市役所と協議を繰り返し、一歩一歩ゆっくりと進んでいきました。遠い道のりでしたが、諦めずに目の前の課題をクリアする事がなによりの近道でした。それらをやりきって、遂に2022年8月から工事がスタートし、2023年2月まで駆け抜けてきました。

はじめて敷地を訪れた時。印象的だったのは森に沿って続く道。この道に寄り添う様な建築をイメージしました。LDK・廊下・洋室全てが道と共に流れる様な空間構成。北側が森、南側がご両親の住宅。北側の森を常に感じれる様に、大開口を設け、東、南の光はハイサイドライトより取り込む計画としました。西日が入りにくい、1日中明るい彩光計画としました。直線的な空間構成とコンクリート、白木、白 内装のシンプル素材が空間に緊張感を与えアート空間の様な凜とした空間となりました。

多くの時間がかかりました。いつも明るくポジティブなS様、工事が遅れる事もポジティブに捉えてくださり、しっかりと確認と修正を行い完成度を高めた状態でお引き渡しを迎える事ができました。有難うございました。工事を陰ながら支えて下さったお隣に暮らすご両親にも、感謝の気持ちでいっぱいです。有難うございました。

お引き渡しは、建築士にとって我が子を世に送り出す感覚に近いものがあります。思いを込めて作った建築をお引き渡しする寂しさを感じつつ、生活が始まるS様ご家族に喜んで頂ける事、そして、ゆっくりと休んで頂ける事を心から願い、お引き渡しを行いました。S様ご家族と多くの時間を過ごせた事、住宅について共に真剣に考えた日々、最高の思い出となりました。有難うございました。