2016年 05月 12日

何ができるのか

九州地方で地震速報や雨予報が報道される度に被災されている方々が心配になります。
一日も早い復興をお祈ります。

いつも安心・安全を意識して建築計画はしているけれども
私達建築家にこれから何ができるのか
真剣に考えていかなければなりません。

私が意識している提案は、平屋で提案することです。
2階建ての1階は2階の荷重を負担するため、
構造的に必要な耐力壁が2階より多く必要になります。
平屋は2階の荷重はかかりませんし建物からの屋外へ避難も簡単です。

※土地の面積が小さく平屋建築が出来ない場合はあります。

建築にできる地震対策

〜耐震〜

建物が地震に耐えること。

耐震にランクがあります。
日本の建築基準法をベースに耐震等級の計算をしています。

耐震等級1〜数百年に1度程度発生する地震力に対して倒壊・崩壊等しない程度。
耐震等級2〜数百年に1度程度発生する地震力の1.25倍に対して倒壊・崩壊等しない程度。
耐震等級3〜数百年に1度程度発生する地震力の1.5倍に対して倒壊・崩壊等しない程度。

<特徴>
・揺れが直接建物に伝わる。
・本震、余震で建物の損傷が進む。
・免震、断震と比べ家具が転倒する。
・建築基準法では、ほぼすべての住宅が耐震住宅となる。(追加費用がない)
・軟弱地盤の制約はほとんどない が液状化の対策にはならない。
・地下室設計は可能。

〜制震〜

油圧ダンパーを利用して揺れを軽減する方法。

<特徴>
・揺れは直接建物に伝わるが、2階から上階の揺れがダンパーにより軽減される。
・制震装置が建物の揺れを吸収するので損傷は少なくすみ、
 余震の度にダンパーによりエネルギーを吸収するので余震対策になる。
・家具転倒は2階から上階が軽減される。
・設置コストは30万~100万円。規模により変動。私の自宅は40万程度でした。
・軟弱地盤の制約はほとんどないが液状化対策にはならない。
・地下室設計は可能。

揺れを吸収して建物損傷を軽減できるようにする装置。
家具の転倒は転倒防止金具を用いる事で家具の転倒の対策をするとより良い。

〜免震〜

建物に揺れを伝えないこと。
普通の地震では大きな損傷がなく、大震災でも地震のエネルギーを伝えない構造。

<特徴>
・揺れは直接建物に伝わりにくい。
・建物が大きく揺れないので、建物の損傷が大幅に軽減される。
・家具の転倒は、階数を問わず大幅に軽減される。
・設置コストは350万~550万円。規模により変動。
・軟弱地盤などでは免震装置の設置が困難になる事もある。
・地下室設計は可能だが基礎工事にコストがかかる。

装置は高いが発生時の安全性は高い。
気なるのが地震時に正しく作動するか?
システムに頼る事になります。

〜AIR断震〜

地震時、空気で建物を浮かせ地震力を逃す方法。免震よりコストが安く近年注目をあつめている。

歴史が浅く技術的に大丈夫か?
地震時に正しく作動するか?
長期メンテナンスに不安があります。
システムに頼る事になります。

まとめ

地震の安全性は免震か断震が優れていると思いますが、システムに依存することになるので私は不安です。

1.システムに依存しない
2.コストパフォーマンスに優れている
3.安心感がある

この3つを考えると耐震等級3(耐震設計最大)で構造設計し制震で建物の損傷を本震・余震から防ぐ事を目指す。

耐震設計+制震ダンパー ハイブリットが良いと考えます。


私の自宅はエースダンパーを採用しました。
写真は私が当時取付したダンパーです。柱と梁を固定します。
今のものとは形状は変わっています。
http://www.odm-inc.jp/acedamper/

他社メーカー
http://www.kaneshin.co.jp/tech/vrecs.php
http://www.tatsumi-web.com/product/go_ta/

地震保険

震災がおきる度に、火災保険・地震保険の料率が見直されています。

私が住宅建築した時は、35年一括の火災保険がありました。
今は無くなり最大で10年契約となり、保険料も上がっています。

地震がおきて家屋が倒壊・半壊した時、住宅ローンは残ります。
火災保険は地震時の火災には対応できません。

地震保険に加入すると地震損害に対して保険金が支払われます。
損害は火災、損壊、埋没、流失です。
地震保険は想像している程高くありません。

万が一に備え地震保険加入をおすすめします。